会社法改正要綱案・各論(5)社外取締役
今回の会社法改正要綱案では、社外取締役に関し、二つの改正点が提案されている。
第1が、社外取締役に業務執行権を例外的に付与できるという制度と、第2が社外取締役を上場会社については、完全義務化するという制度である。
(1)社外取締役への業務執行権の例外的付与
社外取締役の要件としては、非業務執行性が定められているが(会社法2条15号)、要綱案では、例外的に、業務執行権の付与を認めようというのである。
すなわち、「会社(指名委員会等設置会社を除く。)社外取締役を置いている場合に、会社と取締役との利益が相反する状況にあるときは、又は、その他の取締役が業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、その都度、取締役会の決定によって、社外取締役に業務の執行を委託することができる。」とするものである。なお、これによっても、非業務執行性は、維持されるとされる。
具体的には、MOB等の場面において、取締役が利益相反の関係にあるときとか、キャッシュアウトにおいて大株主が取締役である場合等が想定されている。
(2)社外取締役の上場会社の完全義務化
先の改正で、見送りになりになっていた懸案であるが、要綱案では、ついに、上場会社については社外取締役の完全設置義務を提案している。
上場会社については、すでに、証券取引所の上場要件等の圧力により、上場会社ではほぼ社外取締役を選任しているので、それほど大きな影響はないと考えられる。