所有することを念頭に置いた調査・鑑賞
所有しない生き方が評価されている。
その方が経済的に合理的だという判断だ。
しかし、所有することを念頭に置いたとき、人は真剣になる。この意味を忘れてはいけないと思う。
美術作品を「美しい」と漫然と見ているだけではなく、どれを所有するかと真剣に悩むと、見方は違ってくる。
所有すれば、その作品を手元でじっくり見ることができるため、その作品に対する研究も違ってくる。
所有することが突破口となって、そこから広がることは多いと思う。
所有することは、大金持ちでなければ、その対象は限定される。それほど高価なものは、入手できない。
しかし、この制約は、逆に集中へと転化できる。
対象が限定されているため、研究の対象が絞られる。このため、深く研究することができる。
高価なものでなくとも、その良さは気がつく。その気がついた良さと、高価なものを見比べると、違いを判断できる。
1点でも所有すると、すべてが格段に違ってくる。