所有することを念頭に置いた調査・鑑賞

所有しない生き方が評価されている。
 その方が経済的に合理的だという判断だ。

しかし、所有することを念頭に置いたとき、人は真剣になる。この意味を忘れてはいけないと思う。
 美術作品を「美しい」と漫然と見ているだけではなく、どれを所有するかと真剣に悩むと、見方は違ってくる。
 所有すれば、その作品を手元でじっくり見ることができるため、その作品に対する研究も違ってくる。

所有することが突破口となって、そこから広がることは多いと思う。

所有することは、大金持ちでなければ、その対象は限定される。それほど高価なものは、入手できない。
しかし、この制約は、逆に集中へと転化できる。

対象が限定されているため、研究の対象が絞られる。このため、深く研究することができる。

高価なものでなくとも、その良さは気がつく。その気がついた良さと、高価なものを見比べると、違いを判断できる。

1点でも所有すると、すべてが格段に違ってくる。


投稿者名 前川弘美 投稿日時 2018年05月08日 | Permalink