B3 美術作品の運命
今日、美術作品は、夥しい量となっており、これからも止むことなく作り続けられる。
昔のものは、現代に比べれば残っている量は少なく、記録という点でも貴重とされ、保管を続けられるのだろう。
評価の定まった大家の作品も、高価なものとして保管を続けられるのだろう。
楽曲は無体のものであり、その演奏もデータとして場所をとらないで保管ができるが、美術作品の場合、物であり、保管の必要がある。
ただし、物であったとしても、平面であれば写真などによりデータとして保管ができるし、立体であってもデータとして保管ができ、データにより復元ができる時代になったのかもしれない。
(この点はオリジナルとコピーの問題として論じられる点である。)
それにしても、美術作品の場合、物として保管しないといけない点があることは、否定しがたいように思う。
こうした美術品を保管する場所として、美術館があるのだろうが、保管スペースに限りがあるだろう。
美術品の保管者から美術館に寄贈されることも多く、美術館としても手に余ることがあるとも聞く。
美術館としては、所蔵する作品を、何らかのポリシーで限定し、その余の作品は広くオークションに出し、好きな人が所持することになるのかもしれない。
この方が美術作品の相応の値段が明確となり、おそらく流通価格は安くなるのではないかと考えられ、日本が成熟した文化国家となるためには良いことなのではないかと思う。