C2(2) アートは、感性のみで選べるか。

 2011年7月30日、アートフェア東京の会場を回り、考えた。
 感性で選ぶという意味が、単に好きか嫌いかだけであれば、可能かもしれない。「私は、これが好きなんです。」と言われれば、「はい、そうですか。」と答えざるをえない。主観の問題には、踏み込むにしても限界がある。
 しかし、アートをもう少し客観的な基準で選べないだろうかと思う。この点が、ここでの議論のポイントである。
 アートフェアなどで多くの現代アートの作品に出会うとき、どれを購入するかという観点で見ると、私は迷ってしまう。
 自分の感性を信じるならば、それに従って選ぶことができるのかもしれないが、そのときは気に入っても、未来もそうである保証はないように思う。
 逆に、市場での評価を気にすると、まずは自分の感性を横において、市場で評価される作品の良さをどこかに見出そうとする。自分の感性とは異なる作品でも、何度か出会ううちになじんでくることがあるから、自分の感性だけで決めるというのも、狭い了見のように思う。
 多くの作品を見て、また、気になった作品の周辺を調べ、さらに作家についてその全体をとらえようとするうちに、やっと1つの作品についての自分なりのコメントができるように思う。コメントを考え、コメントをするうちに、自分の感性というものが見えてくるかもしれない。
 感性というものは、自分のこれまでの経験や、積極的な学習の積み重ねの上に維持されるものであり、客観的に記述する努力を求められるものだと考えている。


投稿者名 管理者 投稿日時 2011年11月30日 | Permalink