C3(2) 絵画を見るときの場合分け
画面にある具象が描かれていると、それを見た人は、自分の経験の中で認識しているものとしてとらえる。この結果、その具象が自分の認識するものと同じか異なるかなど、比較が進み、見た人は、それなりに考察したという気持ちになるだろう。
次に、画面にある抽象が描かれていると、それを見た人は、それが何なのかと検討するだろう。その検討の中で、その抽象について自分なりのとらえ方をまとめるだろうが、結論の出ない場合もあり、途中でやめになってしまうこともあるだろう。
以上は、見る人の立場から、一応の場合分けをしたものであるが、作家の立場からも加えると、別の場合が出てくる。
画面にある具象として描いたが、その具象を描くことが目的ではなく、別の事柄を表現しようとすることがある。この場合、見る人がそれに気がつかないと、双方はすれ違ったままとなるだろう。もちろん、その場ですぐに双方が理解し合える必要はないから、今後、どのように進展するかは、決まりはない。
画面にある抽象を描いたが、それは作家の表現したいものを絵画として見えるものとしたということがある。この場合、見る人は、作家の意図を考えながら、作家の表現したいものを考察するだろう。双方は、すれ違っていることもあるだろうが、何らかのコミュニケーションがあったといえるだろう。作家のねらいは、そのことにより、ある程度達せられているといえるだろう。
細かく場合分けをすれば、もっといろいろあるだろうが、絵画を見るときに起こるのは、以上のどれかだろう。