D2(9) コレクターは、想いをとげられるか。
いわゆる出口戦略と呼ばれるものが、美術のコレクターにも必要なのだろうか。
アート作品を売ったりすることは考えていないというコレクターもいるだろうから、誰もが出口戦略を考えるものではない。
しかし、人生には限りがあるから、子孫(相続人)の立場も含めれば、どこかで出口戦略は必要なのだろうと思う。
出口戦略としては、通常次のような点を考えることになる。
(1)高価な金額で購入した作品が、より高価に売却することができたこと(もっと正確に言う
ならば、インフレ率以上に売却できたこと。)
(2)高価な作品を入手することにより、物質的、精神的に得られたものが十分であったこと。
この世に1つしかないものに対する人間の欲望は尽きないから、作品の人気が落ちないかぎり、これまで美術品は価値があった。
しかし、オリジナルの意味を考えると、アート作品には、別の問題が生ずる。