売れる絵と売り絵
この違いは、どこにあるのかを、売れる絵(仮)展(企画発案者 愛知県芸芸術学4年 竹中愛咲子さん)で取り上げられていた。
「「売り絵」と「売れる絵」は違います。
「売れる絵」というのは「売り絵」とは全く別で、どんなテーマであろうと、どんな時代や環境であろうと売れる作品です。「売れる絵」を描きなさいというと、世間のニーズに合わせたいわゆる「売り絵」を描けと思われる人もいますが、「売れる絵」というのは作家の個性を生かしながらアート商品としても「売れる絵」ということです。そのことを今回、学生の皆様に考えて制作をしてみていただきたいと思い、企画しました。」
売れる絵(仮)展は、作家に対して、考える機会を持ってもらおうとするものである。したがって、作る立場の目線であると思う。もう少し、コレクター目線で考えるとどうだろうか?
売れる絵は、客観的な結果であり、市場の問題なのに対して、売り絵は、作家の思惑である。
美術作家の場合、我が道を行く武勇伝が、実際以上に語られるため、どうしても客観性・市場性がなおざりにされるきらいがあると思う。経済の世界でよく言われる言葉に、「市場との対話」がある。私は、美術作家も、市場との対話を少しは考えた方が良いと考えている。
しかし、美術作家にとっての市場との対話は、どのようにされるべきかは、難しい問題だろう。人気作家のまねをすることではないだろう。市場との対話は、意図してできるものでもないのかもしれない。そうすると、市場との対話など考えないで、わが道を行けという考え方にもなってしまうだろう。
少なくとも、美術作家も、購入者がいるのだから、その人たちとのコミュニケーションはとるべきだろう。私は、これは当たり前のことだと思うが、これが十分なされているとは思えないことが、多くある。特に、現代美術は、その面が強いと感じている。