B1 オリジナル(真筆)の意味
絵画の世界では、オリジナル(真筆)に価値をおいているように思われる。オリジナルとコピー(写真も含めて)との関係については、いろいろな議論のあるところだと聞く。
オリジナルを物として見た場合、それには価値があると見るべきなのだと思われるが、オリジナルは、最終的には滅失する運命にある。日本の古来からの美術品の多くがそうであるように、色は落ち、剥離し、紙は破れる。黴も生ずる。そのとき、オリジナルはどのような価値となるのだろうか。
物としての美術品としてみると、価値が落ちたと見るべきなのだろうか。この点について、オリジナルが作り出した世界が重要であって、物としての保管に重要な価値をおくべきではないように感じている。
この立場からは、コピーであってもその作り出す世界に差がなければオリジナルと同様の価値と見てよいと考えることになるのだろう。