B9 同時代の人間として
後期ポストモダン時代の芸術として、松井みどりによって「マイクロポップ」と呼ぶアートの傾向が指摘された。
マイクロポップとは、制度的な倫理や主要なイデオロギーに頼らず、様々なところから集めた断片を統合して、独自の生き方の道筋や美学を作り出す姿勢を意味しているとされる。それは、主要な文化に対して「マイナー」(周稼的)な位置にある人々の創造性であるとする。
しかし、そのような流れがあるとしても、現代美術の主要な流れとすることには無理があると思われる。
現代美術をこのようにとらえてしまっては、辻(※点2つ)惟雄が「日本美術の歴史」の中で、現代美術が社会から疎外されている状況は、現在もさしてかわらない。」(420頁)と記述するように、「マイナー」な位置からぬけ出すことはできないだろう。
現代美術の作家は、同時代の人間として、大筋をとらえるべきだと思われる。