A8 カレル・アペル(1921ー2006)
1950年代末のアメリカ美術であるポップ・アート、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アート、フランスのヌーヴォー・レアリスムとは別の道を行く。
画家には、プリミティブな力が必要と考える。
「ボナールは、水浴する女を描きます。しかし描く際に、彼は色彩の抽象、すべての色が運動する抽象的な空間を発見するのです。彼は自分の写実的な見方の先へと抜けるのです。その絵は水浴する女であって、そうではない。抽象ではなく、しかしまた抽象でもあるのです。
私(カレル・アペル)の絵も最後にはよくそうした「中間的」な状態になります。」(アペル展16頁)
アペルが描きたかったのは、まさしく感情であった。
アペルは、人生は永遠に続くものではなく、知的な知識はおそろしく限られている、という認識から出発したとする。どういう場合でも、幸福や悲しみを経験し、それを知ることが、自分の作品に違った内容を与えてきたとする(アペル展17頁)。
知識の限界をふまえ、経験の力を認める考え方は、現世的であると思われる。
1978年から79年に、アペルは絵の構造を再検討した。
<顔―風景>---------------- 病気 -------------- 統制のとれたぶっきらぼうな筆づかいによる絵が現れた。
(P.93)
再び始めたとき、アペルは、構造を求め、厳しく引き締まった筆づかいの抽象的なリズムを求めた。
しかし、その抽象的なリズムから、なおかついつものように、静物、頭部、動物、人物が現れた。