A10 ベルナール・ビュフェ(1928ー1999)
1 「サーカスNO171 チェロ弾き」は、ベルナール・ビュフェ美術館の図録にとりあげられている。
ビュフェが40歳(1968年)のときの制作である。ビュフェは、71歳(1999年)で自らの命を絶っている。
ビュフェは、アナベルと夫婦として、また、「Significant Others(重要な他者)」として共に生きたと言う。
2 「ビュフェとアナベル」
この本は、ビュフェの作品、写真、2人の言葉、若干の説明文によってできた2人の物語である。
説明文は極力省かれており、無声映画のように流れていく。
何を感じ、何を考えるかは読み手に委ねられており、答えが1つあるものでもない。ごく短い時間で2人の物語を読むこともできるし、1つの作品、写真に没入することもできる。
このような本は、私の知る限り稀である。作品と写真と言葉があると多くのことを表現しすぎてしまう。2人の生活は決して空想の中の物語ではなく、現実であって、単純化できるものではないが、その表現は静かである。