A11 草間彌生(1929ー )
1 草間彌生と花
草間彌生の作品には、同じ形の靴をモチーフとした2つの作品がある。
1978年の「花を踏みしだく」
1979年の「靴をはいて野にゆこう」・・・この作品は、初めての版画作品である。
「花を踏みしだく」では、踏みしだかれた花が、「靴をはいて野にゆこう」では、靴ひもとなって表現されている。(この花がどんな花なのか、私には十分な知識がない。)
2つの絵には関連があるのは明らかであるが、1978年から1979年へと何らの変化があったのか、そもそも1978年の作品に、踏みしだかれた花が靴にまとわりつき、靴ひもとなることが暗示されているのか、思いは尽きないところがある。
1964年に、ニューヨーク、カステラーニ画廊の個展で出品されたインスタレーションとして、「ドライヴィング・イメージ・ショー」がある。
その内容は、「電話のところにテーブルクロスがあって、それにスミレの模様が付いていました。その周囲に電話ボックスがあって、そのスミレの模様が天井や壁面までずっと広がっていく作品がありました。」とある(ハピネス ― アートに見る幸福への鍵カタログ241頁)。
草間彌生には、1998年に小説「すみれ強迫」が発表されており、花との普通でないかかわりが一貫してあることがわかる。
2 草間彌生の自己主張
草間彌生の自伝やインタビューを読むと、自己礼賛の面が強く、辟易する人が多いだろう。
しかし、1人の作家として、精神的な病をかかえながら、その存在を主張してきた歴史を見るとき、やむをえないものと考える。
版画作品の中に、製作年が「1953-1984」とあるものがある。実際の製作は、1984年であるが、この起源は1953年からであるという作家の自己主張なのだと思われる。
今日、草間のモチーフである水玉模様(ドット)は、携帯電話のデザインで利用されたりして、広く受け入れられているように感ずるが、そこまで来る道のりは大変なものであったといえる。
3 草間彌生に女性の自立を見るか?
ハイヒールは、女性の自立を表現していると聞いたことがある。