A17 ジュリアン・オピー(1958ー )
ジュリアン・オピーは、イギリスの現代美術作家であるが、日本のオタク文化の影響を受けていることは指摘されており、それは作品集を見れば感ずるところである。
しかし、私がオピーの作品を見て一番感ずるのは、美術館に整然と並べられた姿ではなく、仕事場の中や日常の活動場面の中に置かれたときの生き生きとした感覚である。
私たちは、美術品を、高価なものとして、厳重な管理の下に、厳かに見るものとして教育を受けてきた気がする。しかし、私たちの仕事場は、いろいろな物が交錯して置かれた活動の場であって、その中でいろいろな人が動いている。そのような場に合った作品が求められると思う。
日本では印象派の絵が人気があると思うが、今の自分の仕事場に置けるか(とても購入できないけれども)と考えるとずれを感じてしまう。
私は、ある日、道路工事の横を車で通り過ぎたとき、工事中であることを知らせるために、電光掲示板が置かれ、その中に登場して旗をふっている人の動く絵を見た。そのとき、以前に見たオピーの電気的に動く作品が思い出され、「ああ、この感覚。」と感じた。
仕事や人が交錯する中での作品として注目している。