B10 松浦武四郎の一畳敷(泰山荘)

石山修武「セルフビルド」79頁より
 この建物は、武四郎が木片勧進の旅の末に集めた全国各地の社寺仏閣の木片、つまり建築の部品を集積した建築である。
 集めた木片は、厳島神社、伊勢神宮、出雲大社、吉野山後醍醐天皇陵、京都大徳寺、奈良法隆寺等々からであり、91項目およそ127部品全て木片の由緒は知れるものばかりとのことである。
 武四郎は、幕末から明治を生きた探険家であり大旅行家である。
 武四郎は、晩年をこの一畳敷で住み暮らし没したといわれており、各木片に触れ眺めるだけでその地の風景が手にとるように想い起こされたであろうと思われる。
 この心情は、旅先で見つけたもの(多くは温泉地の松ぼっくり、落葉)を集めた者としてわかる気がする。


投稿者名 管理者 投稿日時 2011年12月01日 | Permalink