ジェニファー・バートレット
In the Garden♯190(2枚の同じ構図がセットされているもの)を見ていたとき、箱型に区切られた物が、塀か何かだと思っていた。
ところが、In the Gardenの画集を見てみると、それはプールだった。
このようなことは、作品を見る場合、よくあることだろう。誤解・逸脱といったことが生じるのである。
しかし、このことが悪いとは思わない。誤解・逸脱であっても、そこから展開が生じる。それによって、新しい世界が始まるだろう。
ジェニファー・バートレットを初めて知ったのは、直島で、「黄色と黒のボート」を見たときである。
この作品は、波寄せ際を、角度、時間(季節)をずらして描いたものに、立体の黄色と黒のボートが置かれ、振り返って、窓の外には実際の波寄せ際があり、そこにも黄色と黒のボートが置かれたものである。
1枚の絵に、見る角度を違えて同じもの・場所を同居させる手法は、セザンヌやキュビスムにあるが、立体も加えて、見る人にも振り返ってもらって、表現するのは、新鮮だった。
In the Garden♯190も、時間をずらした2枚がセットされており、同じような手法が見られる。このような何枚かのものを、同時に1つのものとして認識することに努めると、4次元の存在を感ずることができる。
In the Gardenの画集にある全ての作品を、同時に1つのものとして認識することは、1つの場所であっても、非常な広がり・一体性を感ずることになる。