白隠

 白隠の画業は、まったくの独学であり、研究者が「若描き」と呼ぶものが60歳代の作であり、画業のピークが80歳を超えてからであり、現存作品が1万点を超すのではないかと推測されるとのことである。しかるに、美術史としては、取り上げられてこなかったという。
 白隠展を見て、白隠の生涯を考えると、感銘を受けた。1つだけの作品でも分かるのかもしれないが、通しで見ることは必要だと感じた。
 また、絵とともにある「賛」(文字による記述)は、理解を助け、また、考えさせる。絵画作品が主だという考え方もあるだろうが、総合して理解すれば良いと思う。
 美術作品は、それぞれが独立したものであり、1つだけの作品でも判断できるという考え方があるだろうが、私は、作家の人となりを観ることへと向かうことになる。(このあたりは、専門的な議論があるところだろうと思うが、詳しくはない。)
 白隠が、美術史としては、取り上げられてこなかったのは、作家の人となりに対して眼が向かわなかったからだろう。しかし、白隠は、宗教家としては、その人となりに対して大きな共感があるようなので、大きな評価を受け、親しみも込められているようだ。美術を、美術としてだけ切り取ることには、注意を要すると思う。


投稿者名 管理者 投稿日時 2013年01月28日 | Permalink