先祖の苦労を物語るものこそ家宝である。
徳川家康は、武田信玄との三方ヶ原の合戦の中で、命からがら逃げ帰った際の疲労困憊した姿を描いた絵を子孫代代見せたという。
本来ならば、あまり見せたくない姿のように思われるが、全く別の考え方をとっていて興味深い。
我家には、先祖が店先で座っていた、木の折りたたみ椅子がある。
その簡素なつくり、使い込まれた跡は、自分のできる範囲のことをきちんと実行した姿が読み取れる。機を見るに敏であったかどうか、事業を拡大させたかどうかの前に、きちんと守った姿を想像するべきである。
また、我家には、誰が描いたか不詳であるが、竜の絵や家紋を墨で描いた物がある。
器用な手先、熱意を感じることができる。