残そうとする気持ち
草間彌生の版画集に「かつての愛の億万のきらめきよ 死の静寂のしじまにそれらは一陣の風のように消えてしまった」とあった。草間彌生がどのような気持ちでこの文章を綴ったのか詳しくは知らない。
人間の命には限りがあることのはかなさを述べたようにも思われるが、それで良いとする諦めの念も感じられる。しかし、その中で作品を通して、少しでも自分の感ずるところを残そうとする作家の姿も、改めて印象づけられる。
その作品すらいつかは滅失し、忘却されていく運命なのかもしれないが、少しでも残そうとする気概に人間というものを感ずる。
何も残さなくても構わないと考える人は別として、作品は記録であり、記録によって次の人々は考えるものだと思う。
自分の仕事も、全て作品であり、記録されていくものだと思う。