母親の子育て
塩野七生、ローマ人の物語11巻21ページに、歴史家タキトゥスが書き遺した、紀元2世紀のローマの上流家庭での子育てをうかがわせる記述が紹介されている。
「グラックス兄弟の母コルネリアヤユリウス・カエサルの母アウレリアの最大の関心事は、息子を育てあげることにあった。(中略)それが今や、母親の任務は子を産み落としたら終わりだ。(中略)幼な子は、無教養で下品な女奴隷たちに囲まれ、彼女たちの下らないおしゃべりを耳にし、なるべく怠けようとしてずるく立ちまわる様を観て育つことになる。」
タキトゥスは、何でも悲観的に見てしまう人なので相当に割引いて受けとる必要があるとも、塩野七生は指摘するが、カエサルの時代から200年が過ぎて、指導者階級の子育てが様変わりしたようだ。
ローマの指導者階級と比べる必要はないだろうが、母親の子育てが大事であることは、時代を問わないだろう。弁護士として、いろいろな家族を見てきて、そう思う。
男性の側からすると、どのように子育てをするのか、配偶者を選ぶときから考えなければならないだろう。
また、祖父母の立場からは、孫はその母(嫁)の子であることを忘れてはならないだろう。