物権と債権

民法の規定する財産権は、大別すれば物権と債権であるから、頭の中におく基本は、この2つである。

このうち物権は、実態のあるものであり、リアル世界のものだと思う。私有財産制が修正されないかぎり、安心できる。
これに対して債権は、主体と主体との関係であるから、実体が希薄となり、どちらかと言えばバーチャル世界のものだと思う。
株式は、株式会社の社員たる地位が均一的な細分化された割合的単位の形をとったものである。社員たる地位というのは、会社から雇われた人という意味ではなく、会社の財産を所有する者であり、基本は所有権であるといえる。したがって、物権に準ずるものと考える。
知的財産権も、物としての形はないが、所有の対象であり、物権に準ずるものと考える。

リアル世界を中心に考えると、物権がこの世に存しているだけであり、世の中の活動の中で債権が生まれたにすぎないと思う。
そして、現代の最大の問題は、リアル世界に存する物権以上に、マネー(債権)がふくれ上がってしまっていることだと思う。マネーはマネーという実体があると考える人もいるかもしれないが、債権の評価物が仮の姿として存在するだけだと思うので、マネーはバーチャル世界のものだと思う。

裏付のないバーチャル世界の権利は、どこかで幽霊のように消えうせる可能性がある思う。
法律家の経済観は、その程度のものかとお感じの方もあることと思うが、1つの見方として受け止めていただければ、幸いです。


投稿者名 前川弘美 投稿日時 2016年05月18日 | Permalink