三井家同族会
三井家の一員は、不動産や何か財産を現実に持っていたとしても、同族会が全部を管理しており、財産の処分についても同族会の承認を得なければならなかったという。
この点について、「戦前の三井家同族会によるマネジメントは、資本主義経済の基本である財産権の侵害にあたる面があるため、現代では運営できません。」とのコメントもある(「お金持ちのお金はなぜなくらならないの?」宮本弘之 135頁)。
たしかに、法律上、所有者であればその処分権があるため、同族会が何を言おうと処分はできてしまう。税務上も、所有者に財産は帰属するものとして、課税関係は決められる。
しかし、法制度とは別に、一族の中で、三井家同族会と同じように、財産の名義人は、その財産からの収益を一部得るものの、あくまでも預かっているにすぎず、一番良き管理人の判断に委ねるというあり方は、考えられて良いと思われる。法制度上、このような管理方法を、どのように実現するかは問題があると思われるが、所有者の任意の判断の中で、三井家同族会と同じ規約をもつことは、何ら問題ないと考えている。