規制と自由
「三井財閥の人びと」(安岡重明編著、同文館出版)120頁に紹介されている江戸英雄氏の発言は興味深い。
「同族会は家憲による三井家のつながりです。家憲によって全財産を共有して、病気とか結婚とか相続とかの資金は共通の積立金から出していました。(中略)その家憲を廃止された。これは財閥解体の一環です。そこで各家は自由になりました。三井同族はむしろ喜びました。(中略)結局、三井さんは清算分配金を霧消してしまいました。」
三井財閥の人びとは、同族会にしばられずフリーになったことで非常に喜んだが、戦後の経済変動の時期を乗り越えられず、財産をなくしたということである。
三井財閥の人びとの判断と実行は、自己責任において行われたのであるから、やむをえないのだろうが、そのご先祖様の立場から見たとき、残念であろう。規制と自由を、どのようにバランスをとって良い結果を出すべきか、現代の我々も考えなければいけないテーマだろう。