夫婦財産契約を、家族統治の観点から考える。
夫婦財産契約は、登記をしなくとも、夫婦の間では効力がある。また、口頭でも有効である。書面によるべきという規定はない。
したがって、婚姻届出前の合意として、文書がなくとも、実際の状況からある一定の合意の存在を認定されると、思わぬ結果が生じることに注意する必要がある。
たとえば、「夫の収入の一切は、夫婦の共有財産として結婚生活を維持していく。」という合意がなされたケースがある。
裁判所は、文書による合意はないものの、管理を任せた実際の状況から、夫の収入については、妻において、その収入の性質の如何を問わず全てについて自由に収支(経理)を行なうことを、夫が予め包括的に容認する内容のものであったと推認し、委託契約が継続する間、原告の収入のすべてを共有とする黙示の合意があったと推認した。この結果は、夫にとって不利な結果をもたらした。
こうしたことを防ぐためには、夫婦財産契約として、文書による合意をする必要がある。
弁護士の立場からは、夫婦財産契約をもっと利用してよいと思う。