バランスは、どこから来るか?
河合隼雄さんが指摘した「中空構造」は、おもしろい仮説だと思う。
古事記では、3組の3神が登場するが、それぞれの組に、登場はするものの、何らはたらきをしない神(無為の神)が置かれている。無為の神は、他の相対立する2神の力を適当に均衡せしめるモデルだとする。
ドラッカーは、「日本美術の特色は、概念ではなく知覚、写実ではなくデザイン、幾何ではなくトポロジー、分析ではなく統合である」とする(「日本画の中の日本人」35頁)。
対置される西欧が、物事を分解し、詳細な説明を付け加えていくスタイルであるのに対して、日本は、存在するある事柄を、それ自体として把握するスタイルであるという意味であると思う。
この分析は、バランスをもたらす根元であると感ずる。