数値データの影にあるもの
企業では、経営に関する何らかの項目についてデータをとり、定期的に推移を見ていることが多いだろう。特に、上場会社などコンプライアンスが重視される環境にあれば、必要な項目はチェックしていると思う。
たとえば、必要とされる文書が間違いなく取得されているかどうかなど、チェックする必要がある。部署ごとにその取得率を比較して、問題がある部署であれば注意する必要もあるだろう。取得率を定期的に見ていくことで、全体の管理状況が分かる。
こうして取得率など、あるデータの推移を観察していると、良い方向に進んでいるかどうかが分かり、良い方向に進んでいるときは安心もできる。
しかし、良い方向に進んでいるときでも、何か問題が起こることがある。なぜ定期的に観察しているのに問題が生ずるのか。こうした場合をよく見ると、観察している数値だけではつかみきれないものがあることに気がつく。それは普通に考えれば当然のことで、1つの数値だけで、リスクの全体をカバーすることはないことは、当たり前のことだろう。数値データの推移を見ているだけだと、こうしたことを忘れてしまうのだ。
したがって、数値データを見ているときでも、その影にあるものも考える必要がある。たとえば、取得率を見ているときに、取得の時期も見る必要があると気がつくときがある。何をきっかけに気がつくかは、いろいろだろうが、数値データの影に何かがあるという意識を忘れてはならないだろう。