2005/11/2 かんべえの不規則発言(吉崎達彦)より引用
●外務大臣会見記録(平成17年10月31日(月曜日)23時10分?於:本省・会見室)
(問)外相として靖国神社に参拝されるお考えがあるのかどうか。
(麻生外務大臣)そういう質問は必ず出るだろうと思ってましたが、やっぱり出ましたね。どちらですか。
(問)朝日新聞です。
(麻生外務大臣)やっぱりね。基本的には個人的な信条というものと、国としてのというものは必ずしも一致するということは限らないとことも往々にしてあるというのは解りますので、適切に判断をしたいという総理の考えとほぼ同じことを申し上げなければいけないと思っています。
〇そうかと思うと、こんな風に答えていたりする。
(問)日中関係は政冷経熱といわれている中で、日中外相会談もキャンセルされましたが、今の状況をどのような場でどのように打開し、どのように中国に呼びかけるお考えですか。
(麻生外務大臣)今年1月に中国に行ったときに似たような質問を受け、歴史認識について問われたことがあります。正確ではないが、多分こんな具合に答えたと思います。
昨年重慶でサッカーの試合が行われているときに、極めてアンフェアな応援を行ったのが中国人、しかしほぼ同じ時期に谷村新司の野外コンサートで、コンサートの最後に谷村新司が歌った「昴」という歌を観客の9割がスタンディング・オーべーションで応えてほとんど日本語で「昴」を歌ったというのも中国人、ということが存在していることを我々は知っている。
昨年、中国の海軍の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯したのも軍人ならば、戦前帝国陸軍が天皇陛下の意向を無視して中国でいろいろ不届きな行為があったのも軍人、軍人というのは政治家にとって常に扱いにくいというのが似たような話ではないかと。
歴史認識というけれども、なかなか歴史認識というのは難しい。南北戦争のことを、ジョージア、アラバマ、ミシシッピ、ミズーリ、いわゆる南部の地域においてはノーザン・インベージョン、北部の侵略と学校では教えている。英国では米国の独立戦争を植民地の反乱といっている。同じ国内、同じアングロサクソンであっても歴史認識はなかなか一致しないということを前提にして、日中の歴史認識を考えていかなければならないのではないかと、正確な一言一句全部は憶えてはいませんが、大体似たようなことを言ったと思いますが。
それ以降向こうから反論はなく、第3世代、3G、携帯電話の新しい機種のことですが、その話に戻ってという話になったので、なかなか歴史認識というのは一致しないものだということを知った上で、やはり今中国で日本語を歌ったり話したりする若い人が多い。ジャパン・アニメーション、Jファッション、J?POPの「3 J」がアジアのサブカルチャーを席巻しているというのが、2年か3年前のタイムの中で書かれた社説です。日本はハードだと思っているけれど、実はソフトでアジアの中でこれだけ日本のサブカルチャーが浸透していると、タイムマガジンという月刊誌に出ていたとおりです。現実問題として日中関係は多くの人たちが色んな形で深く交わって相互交流、経済交流はもちろんのこと観光、文化でいろいろ交わり合っているのが現実だと思います。
そういった中で政治だけ別というように政経を分離するという考え方を中国はしますかね。私はある意味では、そういったものを考えて国民がそこまでうまく色んな形で行っているという現実に立った上で話をするべきではないかと思っています。
〇南北戦争との比較は、昨年12月に一緒に「靖国神社ツァー」をしたクリス・ネルソン氏も言っていたことです。とまあ、いろいろなやり取りがありますが、いちばん良かったのは次の部分です。
(問)吉田茂も首相になる前に外務大臣をやっていますが、そのポストになられたということでご感想は。
(麻生外務大臣)吉田茂は外務大臣にならずに総理大臣と外務大臣を兼務したと記憶していますが、感想ですか。余り予期しなかった質問ですね。吉田茂がどういう感想を持つか、「大丈夫かあ」とそんなものですよ。こんな質問なんかされてね。多分そういう態度で、今その辺で聞いていますよ。
以上引用
祖父と孫の関係は、このように意識されるものかとの感想を持った。
このような関係は、うらやましいものである。このような関係を作るためには、ファミリーの骨格を作ることが、年齢とともに大事である。