離婚事件は、人生に大きな影響があるのに、これまで十分に専門化されてこなかった分野です。
セントラル法律事務所では、離婚問題について、片手間扱いをせず、専任の部門を設置して正面から対応しています。
 離婚を考えるとき、それは何かのきっかけがあります。暴力とか不貞行為とか、はっきりしたきっかけのこともありますし、日常の不満が積み重なった中で、ちょっとしたきっかけで離婚を考えることもあります。
 しかし、離婚は、身分上の大きな変化ですから、きっかけとなったことだけでなく、多くの面からその是非を考えなければなりません。
 弁護士としてのこれまでの経験は、こんなときにお役に立つと思います。
 離婚は、大部分の人にとって、人生で初めての体験です。
 初めての体験なので、どうしていいかわからないのが普通なのです。

○経営者の離婚
 経営に携わる方の離婚問題は、別の様相を示すことがあります。
 経営者やそれに準ずる人は、普段でも仕事上多くの課題をかかえており、時間がなかなかとれません。
 家庭(プライベート)の問題により、仕事に影響が出てはいけないと、誰しも思うのですが、どうしても影響は出てしまいます。
 離婚についてどのように考えるかを明確にし、腰をすえて対応できる体制をつくらなければなりません。

○「自分に責任はないのに、なんでお金を相手に渡さなきゃいけないんだ!」
 そう、納得できないことは多いですよね。
 でも、こんなときはどのように考えたら良いのでしょう。単にあきらめるということではなく、進むべき道を見つけましょう。

○「裁判所は、正義に反する結論を出してはいないのでしょうか?」
 裁判所は現状維持の結論を出すことが多いと思います(裁判官の方は、別の意見かもしれませんが)。
 その結果として著しく正義に反すると思うことはあります。
 しかし、裁判所が現実にどのように判断し、動いているかということを、ありのままに受け止めることは必要なのです。

○「精神疾患のある相手方ですが、どうでしょうか?」
 これまでの経験から言いますと、解決まで時間がかかります。
 しかし、解決はできますし、解決に向けた道を探し、その道を最後まで歩き抜かなければなりません。


 これまで、離婚をめぐる話し合いは、ご自身で始められていたことが多いでしょう。
 しかし、本当は、離婚について十分に理解し、見通しをもって話し合いを進める必要があると思います。




 離婚調停は、裁判所の部屋を借りた話し合いですから、ご自身でも対応することは可能です。
 特に、調停では、こちらと相手方は交互に部屋に入り、調停委員と話をする方法で進められます(原則として、相手方と同席して話をすることはありません)。したがって、相手方が部屋に入っている間は、こちらは待っていることになり、時間的余裕はあります。調停の、この特色をうまく利用することが必要だといえるでしょう。
 ただし、調停委員から、思わぬことを言われることもあり、対応方法を理解しておくことは必要です。
 離婚調停サポートは、ご自身で調停に臨まれる方のために、不明な点が出てきたり、判断に迷ったりしたときに利用していただくサービスです。



 訴訟となると、ご自身で進めることは、いろいろと大変だと思います。特に、書面の作成、証人・本人尋問などは、専門家の判断が必要です。
 これまで訴訟は、弁護士の専門領域として、弁護士が全ての段階で関与していました。私共としても、弁護士のフルサポートをお勧めします。しかし、離婚訴訟の段階でも、サービス内容を選択していただくことは可能です。
 離婚調停サポートをご利用いただいた方の場合、これまでの経緯が把握できていますので、訴訟段階の争点も明確となっています。訴訟にあたっては、ポイントを明確にして進めることが必要なのです。


 離婚事件といえば、「離婚を考えているがどうすればよいか」、「現在、離婚調停(裁判)中だが、少しでも有利な条件で離婚したい」という方が弁護士に相談に来るイメージがありますが、それだけではありません。
 離婚事件の中には、離婚後のトラブルについての相談も含まれています。例えば、「離婚調停で約束した養育料や慰謝料を支払ってくれない」、「子供の進学等の理由で養育費を増額して欲しい」、「相手方に引き取られた子供に会いたい」など、離婚する際には想像していなかったトラブルについても法的手続きをとることができます。



日本での離婚に関する制度は、現在のところ、協議離婚、調停離婚、審判および判決の裁判離婚制度があります。

そのうち、協議離婚は夫婦の離婚意思の合意と離婚届の提出・受理によって成立する離婚をいいます。
日本で離婚をする夫婦の約9割が協議離婚であり、協議離婚が中心である傾向は、戦後一貫して変わっていません。

協議離婚の流れは、
離婚届に署名・捺印→役所へ提出→受理→離婚成立となります。

この協議離婚のメリットとして、(1)面倒な手続がいらないこと、(2)離婚の理由は何でもいいということです。

しかし、手続が他の離婚方法と比べて簡単な分、後でトラブルになることも多くあります。
そのため、トラブルを防ぐためにも、離婚届に署名捺印する前に、以下の項目について、話し合いをしておきます。
そして、内容が決まったら、「離婚協議書」を作成し、書面で残すことをお勧めします。

1.慰謝料
2.財産分与
3.子供の親権者
4.子供の監護権者
5.子供の養育費
6.子供の面接交渉権の具体的な内容

また、「離婚協議書」の内容を確実に行なってもらうために、執行認諾文言のある公正証書(離婚給付契約公正証書)を作成しておくと、さらに安心です。


 離婚成立前に、夫婦間の財産に変動が生じる(例えば、別れる相手に財産を渡したくないために、財産を隠したり、処分をしたりすること)と、離婚成立後の権利の実現が困難になったり、審判の結果が出るまでの当事者及び夫婦間の子の生活が難しくなったりすることがあります。
 そのため、夫婦間の財産に対し、暫定的に権利義務関係を形成し、離婚に伴う保全処分をします。

 離婚に伴う保全処分には、
1)調停前の仮の措置
2)審判前の保全処分
3)民事保全手続
があります。


協議離婚(夫婦間での話し合い)がまとまらなかった時の次のステップが「調停離婚」です。

調停離婚は、家庭裁判所の調停(離婚調停)で成立する離婚のことで、調停では、男女1名ずつの調停委員と裁判官(審判官)で構成された調停委員に夫婦が別々に話をします。
離婚調停は、第三者(調停委員)に夫婦双方の意見を別々に聞いてもらうため、間接的に夫婦が話し合いをする場だと考えてもらえばいいと思います。

調停離婚のメリットは、
1)離婚の理由は何でもいいこと
2)費用も裁判離婚にくらべて、ほとんどかからないことです。

1)に関しては、協議離婚の場合のメリットと一緒であり、調停離婚の場合は、離婚しようかどうか迷っている場合でも調停を申し込むことができます。

では、逆に調停離婚でのデメリットはといいますと、
1)時間がかかること
2)裁判所は土日休みのため、調停は平日にしか行なわれないことです。

調停離婚の流れは、
調停での話し合い→調停成立→離婚届を調停調書とともに役所へ提出→受理→離婚成立となります。
 
夫婦ともに離婚の意思がかたまり、お金や子供の親権などでお互いが納得した時点で調停成立します。
調停が成立すると「離婚調停調書の謄本」がもらえるので、離婚届とともに離婚調停調書の謄本を持って、離婚が成立してから10日以内に役所に提出をしなければなりません。役所に提出した時点で離婚成立となります。

逆に、話がまとまらなかったり、相手が調停に来ない場合は、調停は不成立となります。
そのため、どうしても離婚したい場合は、裁判離婚(訴訟をおこすこと)へと次のステップをすることになります。


裁判離婚は、裁判所の法廷で、夫婦がお互いの主張を言い、それを聞いた上で裁判官が判決を出すといった流れです。

裁判離婚のメリットは、相手が離婚をしたくない場合でも、民法で定められている離婚原因(他のカテゴリーに詳しい内容がのっています。)が相手にあると認められれば、離婚することができます。

ただ、裁判離婚は
1)他の離婚方法に比べ、相当な時間・労力そして費用がかかること、
2)手続がとても大変であり、
3)傍聴することが自由な法廷の場合には、見知らぬ人の前でプライベートを話さなければいけないため、精神的負担もかかるといったようなことがデメリットです。

裁判官の判決後、夫婦どちらかがその内容に納得がいかなくても、14日以内に控訴しなければ、離婚は成立します。

そして判決確定後は、離婚届、戸籍謄本、判決確定証明書、判決書謄本を10日以内に役所に提出しなければなりません。


審判離婚は、調停で離婚の意思はお互いあるのに、ちょっとした部分で意見が合わなかったり、もう少しで成立という時に最後で出頭しないというような理由で調停が成立しない、またはできない時に行なわれます。

審判離婚の流れとしては、家庭裁判所が調停委員の意見を聞き、あらゆる事情を考慮して、家庭裁判所が独自の判断で離婚の決定をします。決定に納得がいかない場合は、審判日から14日以内であれば、異議申立を行なうことができ、審判の効力をなくすことはできますが、実際に異議を申立する人は極めて少ないです。そして確定の日から10日以内に申立人は本籍地あるいは住所地の市区町村役場に離婚届、審判書謄本、審判確定証明書、戸籍謄本(本籍地でない役所に出す場合)を提出することで、離婚成立となります。

と、ここまでが、審判離婚に関する内容ですが、

実際には、調停が不成立に終わった場合は、訴訟を提起する裁判離婚に移るのが原則で、審判離婚に移ることは一般的にはありません。
しかし、これは、審判が使われないというわけではなく、裁判離婚をしていく際に、婚姻費用のみ審判で家庭裁判所に決定してもらうことが多いです。
その理由としては、審判で婚姻費用を先に決定してもらうことにより、離婚の話し合いの最中でも、お互いの生活が今までに近い状態で過ごしていけるとともに、もし相手が払わない場合でも、審判書により給料差押えなどの強制執行ができるからです。


・相手が勝手に離婚届を偽造して出して提出してしまいそうな時
・離婚届に署名と押印をしたあとに、「やっぱり離婚したくない。」と考えが変わった場合
?このような時はどうすればいいのでしょうか。?

1.離婚届が受理される前

市町村役所で「離婚届不受理申出書」というものを提出します。
そうすることによって、相手が勝手に離婚届を提出しようとしても、6ヶ月間は受理をされません。
また、一度は離婚を決意したものの、やはり離婚したくないと考えた場合も、同じように手続をしてください。
ただ、これは6ヶ月間という期限がありますので、6ヵ月後にも状況が変わらない場合は、再度手続をしなければなりません。

2.すでに離婚届が受理された後

このような場合は、「離婚届不受理申出書」の手続はできません。
離婚を取消することは可能ですが、すでに離婚したということが、戸籍に記載されているため、これを訂正する必要があります。訂正するには、原則的に「協議離婚届出無効確認訴訟」が必要であり、手間がかかります。

<注意点>
・調停離婚、裁判離婚が成立した場合は、できません。

と、以上のことにより、離婚の取消はできますが、あくまでも最終手段です。
離婚は今後の人生にかかわる分岐点です。冷静になり、よく考えて離婚することをおすすめします。


相手が勝手にこちらの分の署名・捺印をした離婚届が市区役所で受理されてしまった場合、離婚無効を裁判所に訴えることができます。

しかし、離婚無効だと主張しながらも、その傍ら、離婚届を出した相手に対して、金員を請求し受領していた場合、離婚無効が認められない場合があります。受領した金員が慰謝料・財産分与のような離婚を前提とした金員交付であったと裁判所に判断した場合です。この場合は、無効な離婚届を追認したとみなされるため、離婚届が有効になります。

このように、追認があった場合、離婚は届出の時にさかのぼって有効になり、離婚を取消すことはできません。
(相手からの強迫や詐欺により無理やり離婚した場合でも、追認があった場合は、同じです。)

※追認とは・・・取り消しうる行為について、以後取消をしないでその法律行為を有効なものに確定させることを言います。


弁護士の立場としては、離婚するべきかどうかについては、相談者が自分自身で決めるべき事項であると考えています。
もちろん、弁護士として、離婚すべきかどうかについて、これまでの経験を踏まえ、意見をもっていますし、アドバイスしています。将来の見通しについても、お話をします。しかし、相談者も自分で考え、自分で決めなければいけないところがあります。

家庭裁判所の調停は、離婚調停だけではなく、夫婦関係の円満調整という調停もあります。
調停を進める中で、離婚すべきかどうかを考えることも出来るのです。

それでは、どんな場合に離婚すべきなのか。

これは、その人が何に価値を見つけるかという問題なのです。
回答になっていないとお感じになるかもしれませんが、一律の答えはありません。これこそ、相談という対話の中で考えていただく問題です。相談者が一つの価値しか見ていないときには、その人を見て、別の価値を語ることもあります。


内縁(事実婚)は、一般的に婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の関係にある男女の関係をいいます。

内縁の成立要件として、まず、婚姻意思と夫婦共同生活の実態があることが必要となってきます。
同棲(共同生活)しているからといって、直ちに内縁関係が認められるというわけではありません。

民法は婚姻について届出主義をとっている(739条1項)ため、届出という形式を踏まないで夫婦同然の生活をしていても、法律上の配偶者としての保護は得られません。
したがって、内縁の相手方が死亡した場合にも内縁の配偶者には相続権は発生しません。

しかしながら、
1 労働基準法に基づく遺族補償(79条)の受給権
2 健康保険の被扶養者になること(健康保険法3条)
3 借地借家法上の借家権保護(36条)
が認められています。


調停は、二人の調停委員(男性、女性)が担当し、申立人と相手方が交互に部屋に入って、話し合いが進められます。(当事者は、相手が部屋に入っている間は、それぞれの待合室で待つことになります。)
したがって、当事者は、互いに、調停委員の話を通じて、相手が何を言っているかを聞くことになります。
このため、調停は、調停委員の力量に負うところが多いといえるでしょう。

いろいろな調停を経験していますと、調停委員が、相手の話を1時間以上も聞いており、こちらがその間、ずっと待たされるということがあります。
調停委員としては、当事者の言っていることをじっくり聞くということで、その納得が得られやすいことがあるでしょうし、当事者を説得しようとして、長時間かかることがあるとは思います。

しかし、調停の時間は、午前中の場合、10時から12時までの2時間で終わることが大部分ですし、午後の場合でも、3時間ないし4時間が限度でしょう。そうなると、調停委員が一方当事者の話ばかり聞いていると、他方の当事者にとっては、何が問題なのか理解できず、いらいらが募ります。

私は、調停では、話し合いのポイントをしぼり、交互に話を聞く回数を増やして、キャッチボールを行ない、話し合いになるようにした方が良いと考えています。こうした方が早く話がまとまると思います。
場合により、調停委員に対し、相手に対して確認してほしいポイントを明確に示し、話し合いの回転数を上げることも必要です。


調停は、1回で終わることは少なく、1ヶ月ないし1ヵ月半に1回くらいのペースで、半年から1年かけて行なわれることが多いと思います。もっと長期間かかることも多いのです。

調停委員は、自ら手控え(メモ)をとっていますので、前回に話し合われたことを踏まえて進められますが、問題点が多岐にわたる場合、話し合いが混乱することもあります。

このような場合、調停では文書で言い分を出すことは少ないと思いますが、問題点を整理したレジメを作成すると良いと思います。こうすると、調停委員と話し合いをする場合、今、どの点について話をしているのかを明確にでき、全体の中での位置付けがはっきりします。


いろいろな事情で夫婦関係がうまく行かなくなったけれども、離婚するのではなく、円満な夫婦関係に修復したい場合、家庭裁判所の夫婦関係円満調整の調停手続を利用することができます。

調停手続では、家庭裁判所の裁判官1名と調停委員2名が間に入り、夫婦双方から事情や意見を聞き、夫婦関係が円満でなくなった原因を当事者がどのように改善していくか等の解決案を提示したり、解決のための助言をするなどして、当事者間の話し合いの場を設けて調整をすることにより、自主的な解決を目指します。
当事者双方の協議が整うと、合意事項を記載した調停調書を作成し、調停手続は終了します。また、当事者双方の協議が整わなかった場合は、調停不成立調書を作成し、調停手続は終了します。

夫婦関係円満調整の調停手続は、離婚した方がよいか迷っている場合にも、利用することができます。離婚するか夫婦関係を継続するかは、調停の話し合いの中で決めていくことになります。


平成16年4月以前は、離婚訴訟(離婚裁判)の途中に原告被告間(訴訟当事者は夫と妻)で離婚の合意(和解)が成立したとしても、和解調書には「原告と被告は、本日、協議離婚することに合意する。」と記載されていました。そのため、離婚を成立させるには、協議離婚の手続をとらなければなりませんでした。 
平成15年の人事訴訟法改正(平成16年4月施行)により、「和解離婚」という新しい離婚の方法ができました。

■和解離婚の成立
離婚訴訟の途中に原告被告間で離婚の合意(和解)が成立した場合、和解離婚が成立し、和解調書が作成されます。
和解調書には「原告と被告は、本日、和解離婚する。」と記載されます。また、その他の合意内容(親権、財産分与等)も和解調書に記載されます。
なお、和解離婚の成立が記載された和解調書は、確定判決と同一の効力を有します。

■市区町村役場への届出
和解離婚成立の日から10日以内に、和解調書謄本を添付して市区町村役場に離婚届を提出します。
戸籍には、「離婚 【離婚の和解成立日】平成○年○月○日」と記載されます。


平成15年の人事訴訟法改正(平成16年4月施行)により、「認諾離婚」という新しい離婚の方法ができました。

■認諾離婚の成立
離婚訴訟の途中に、被告(夫又は妻)が原告(妻又は夫)の訴訟上の請求を全面的に受け入れて承諾(認諾)することにより、認諾離婚が成立し、認諾調書が作成されます。
ただし、離婚訴訟において、親権者の指定が必要な場合や、離婚以外の請求(財産分与、子の監護に関する処分等)がある場合は、請求の認諾は認められません。
なお、認諾離婚の成立が記載された認諾調書は、確定判決と同一の効力を有します。

■市区町村役場への届出
認諾離婚成立の日から10日以内に、認諾調書謄本を添付して市区町村役場に離婚届を提出します。
戸籍には、「離婚 【離婚の請求認諾日】平成○年○月○日」と記載されます。 


 離婚をするために夫婦間で話し合ったけれど解決できず、どうしても離婚をしたいから、裁判所に調停を申し立てたい!または、訴訟を提起したい!という場合、どこの裁判所に出せばよいのでしょう。
 離婚事件に限らず、調停や訴訟を申し立てる場合、必ず裁判所の「管轄」というものがあります。
 ここでは、離婚事件に限定し、どこの裁判所に調停の申立てor訴訟の提起をするのかを説明します。

 1 夫婦関係調整調停を申し立てる場合
   (夫婦関係調整調停とは、離婚や円満を求める調停のことをいいます。)
   夫婦関係調整調停の管轄は、
    ?相手方の住所地
    ?合意で定める地の家庭裁判所。
   を管轄している家庭裁判所になります。
 
 2 離婚請求訴訟を提起する場合
   夫婦が同居している場合は、
    ?その同居している住所を管轄している裁判所
   夫婦が別居している場合は、
    ?夫婦のいずれか住んでいる住所
   を管轄している家庭裁判所になります。
 
 3 このように調停と訴訟の管轄の違いは、訴訟では、相手方の住所地だけではなく、自分の
  住所地にも管轄が認められる点にあります。


児童扶養手当とは、

母子家庭等の生活の安定と児童の健全育成のため手当を支給する制度です。

●支給対象
次の要件に当てはまる18歳以下(18歳到達の年度の末日)の児童
(一定の障害があるときは、20歳未満)を監護している母又は養育している方に支給されます。
○父母が婚姻を解消した児童
○父が死亡した児童
○父が重度の障害にある児童
○父から引き続き1年以上遺棄されている児童
○父が引き続き1年以上拘禁されている児童
○母が婚姻しないで生まれた児童
○父の生死が明らかでない児童


児童扶養手当ての手続について(某市町村役場の場合)

1 父母の離婚の成立(戸籍上にも離婚の記載がある。つまり、母の新しい戸籍ができている状態)
      ↓
 (2 この時点でも、児童扶養手当申請が可能。)
  しかし、その後、子供を母の戸籍に移す、氏の変更申請手続をとったら、
  児童扶養手当をもらっている役場でも、別途、氏名変更手続が必要。
   必要書類:戸籍(元夫の戸籍、新しく作った母の戸籍、
        親権者と子供の住民票(世帯全員)
        離婚後の住まいが、実家などで、持ち家である場合は、何も必要なし。
        しかし、アパートなど賃貸、借家の場合は、賃貸借契約書が必要です。
        仮に実家に戻っても、実家が借家であれば、賃貸借契約書が必要。


3 子の氏の変更手続(子供を母の戸籍に移す in 某家裁)
      ↓
    手続終了
      ↓

4 児童扶養手当申請
  この時は、既に子供の姓も戸籍も変わっているので、
  子の氏名変更手続は必要ない。
  しかし、実家に戻る場合などは、実家の世帯全員の住民票が必要
  実家が持ち家であればよいが、借家だと賃貸借契約書が必要。
  必要書類:母の戸籍謄本(前夫の分は、子供が抜けてるので要らない)
       母の住民票(実家に戻している状態なら、1枚でよい。)


 あと、別途離婚が成立した時点(上記1終了時点)で、国民健康保険の加入手続きが必要です。
この場合、子供は、母親の扶養に入れる手続をしてください。
そうしないと、児童扶養手当が出ません。
この手続には、認印、年金手帳が必要です。



予め離婚について、相手と離婚条件などに合意ができており、養育費など長期的に相手方にお金の支払を求める必要がある場合、公正証書を作成しておけば、相手が養育費や慰謝料などのお金を支払わなくなった際に、相手の意思に関係なくお金を取ること(強制執行)ができます。
通常、口約束や私文書での契約書だけしか作成していないと、いざという時に相手から強制的にお金を取り立てる強制執行をすることができません。
しかし、公正証書さえ離婚前後で作成しておけば、調停・裁判などの面倒な手続きをしなくても、直ちに養育費や慰謝料などのお金を取得できるのです。


離婚公正証書作成の必要書類など

<当事者本人が公証役場に行く場合>
?本人の運転免許証と認印が必要です。
?養育費条項を入れる場合・・・子の確認資料として戸籍謄本
?年金分割条項を入れる場合・・・厚生年金や共済年金などの年金種類と年金番号、按分割合を記載します。
?強制執行認諾書面にするために、公証役場で作成(入力)した公正証書を作成します。事前に離婚公正証書への記載内容を連絡(またはfax)してもらい、公正証書を作成します。そして、公証役場に来て頂く日程調整します。

<当事者本人が公証役場に行かない場合。代理人が公証役場に行く場合>
?代理人の運転免許証と認印
?本人から代理人への委任状
 ※委任状に、合意内容の条項を全部記載して「合意する」という文言が入った委任状。この委任状には本人が実印を押して印鑑証明書を添付する。
?代理人が公証役場にいく日程調整をする。事前に公正証書の記載内容(合意内容の全部が記載された委任状)を公証役場にFAXします。



 離婚をめぐり争いが始まると、相手方から、メールや手紙などいろいろな文書が出てくる。また、弁護士が関与する場合、代理人として、相手方本人から聴き取った内容を文書とする。
 このような文書は、相手方の一方的な記述であり、腹の立つことが多いだろう。このため、全てに反論したくなるし、反論しないと認めたことになるのではないかと不安になる。
 しかし、反論は、必要に応じてなすべきだと思われる。ただちに反論しないからといって認めたことになるものでもない。
 もちろん詳細に反論すること自体が悪いものではないから、弁護士としては、できるかぎり反論をまとめて文書を作成する。
 問題は、相手方の文書に腹が立ち、思い返しては腹が立ち、また新しく気づいては腹が立ち、腹立ちが際限なくなることだろう。こうなると解決に向けた協議もできなくなり、決着が遅くなり、健康にも良くない。
 現時点で何が一番必要かを判断し、その点について適確に実行することが重要である。


 第1は、自分がこれからどのような人生を歩むかということ。
 第2は、お金の問題。
 第1の問題が、一番重要だと思う。この問題は、自分のこれからの人生をどのようにイメージするかということであり、そこでは、夫婦の間をどうするか、親子関係をどうするか、それ以外の人間関係をどうするか、を考えなければならない。
 第1の問題は、基本的には自分で考えてもらうことが必要になる。弁護士として、経験をいろいろお話しすることはできるが、最後は、自分の人生を自分で考えてもらうしかない。
 しかし、そうではあっても、この第1の問題について適切に判断することはむつかしく、ここを間違えると第2のお金の問題でカバーできなくなることがあると思う。
 第2のお金の問題は、これも大事である。そのためにいろいろ工夫をする。第1の問題について判断をまちがえず、しっかり決められていれば、後は、やるべきことを淡々とやっていくことになる。


 離婚をめぐる争いが始まったとき、相手方の収入で生活している場合、注意する必要がある。
 相手方は、その収入を自分だけで管理しようとすることが多いので、相手方の収入をあてにしていると、すぐに生活費に困ってしまうことになる。
 お金のことよりも、ともかく別居して生活したいという場合もあるが、早い段階で経済的安定を実現した方が、離婚の協議、裁判にも腰をすえて対応でき、結果も良くなると思われる。
 したがって、生活費(婚姻費用)をどのように確保するかを最初に考える必要がある。
 当事者間で話し合いができないのであれば、婚姻費用について、早めの調停を申立てることをアドバイスしている。調停で話し合いがまとまらない場合、審判で決着をつけていくことになるが、審判では、調停の申立の時期にさかのぼって婚姻費用を支払うように決めてもらえることが多いからである。


 裁判や調停など、事件がどのように進行し、どう決着するかということをよく尋ねられる。
 もちろん、どのような見通しかということは大事なことであり、そのことについて相談があれば、当然に申し上げる。
 しかし、もう1つ重要なことは、事件は、いろいろな事情が出てくるため、そのときどきに適切な対応をする必要があるということ。先に申し上げた見通しどおりに事が進むとは限らないし、見通しがどうであれ、がんばらなければいけないこともある。
 よく将来のことについて、いろいろ心配される方が多い。見通しの中で、その可能性が高ければあらかじめ対応策を考えておかなければならない。しかし、その可能性が低いことまで全て対応策を考え出すと、きりがなくなるだろう。あまり先回りしていろいろ心配することは、健康上良くないし、時間などのコストが大きくなりすぎることも多い。
 現状をよく判断し、適切な対応をまず心がけるべきだと思う。


 前妻の子のグループと後妻の子のグループが、相続において争うケースは何度か見てきた。前妻と後妻は、常に対立するものではないかもしれないが、仲良くやっていくというのは基本的に無理なのだろう。
 したがって夫(父)の立場の人は、将来をよく考えておく必要がある。
 前妻の子も後妻の子も、平等に扱われることを望むだろうし、それが当然と考えるだろう。ところが、前妻と離婚した場合、そのときの嫌な思いがあって、前妻の子との付き合いに影響してしまう。この点は一番注意するべきだと思う。前妻としても、自分の子の処遇のされ方について、未成年のうちは当然として、その子が成人に達した後も、十分なものを求めるだろう。
 特に相続においては、後妻は、2分の1の相続権があるのに対し、前妻は、相続には全く関与できない。
 このことは、本来、離婚において十分理解されているべきことだと思われるが、離婚することだけに思いは行ってしまうように思われる。


 平成22年6月から子ども手当制度がはじまり、まもなく2年になる。
 子どもの両親が、別居して離婚の調停や裁判をしている場合、これまでは「子どもの生計を維持する程度が高い者」(要は父母の収入の多い方、多くの場合は父親)に対し子ども手当は支給されていたが、平成23年10月から制度が改められ、子どもを実際に養育している親(子の両親が別居をしている場合、子と同居している親)に支給がされるようになった。

 平成23年10月の制度の改正後、子どもを実際に養育している親が、子ども手当ての受給を受けるには、
?別居している証明(養育している親と子の別居後の住所の住民票)
?離婚調停ないし離婚訴訟をしている証明(裁判所が発行する事件の係属証明)
を必要書類として準備して、市区町村で手続を行う必要がある。

 ただ、上記の必要書類には、別居している証明として、養育している親と子の別居後の住民票が必要とされているとの点で、懸念される問題点がある。
 すなわち、婚姻関係が破綻し、別居をして、離婚調停や訴訟をする夫婦の全てが、住民票を別居後の実際の住所地に移動させているかというと、実際はそうではない。
 例えば、DV(モラルハラスメントも含む。まだ警察への相談や接近禁止の手続きをとっていない場合)や子の連れ去りの可能性が予測できる者が相手方となった場合、子を養育している親は、別居先の住所を相手方に知られることを恐れて、別居後の実際の住所地に住民票を移すことはできず、住民票は従前の住所のままにしておくことが多いのである。
 住民票が別居後の住所地に移していないために、実際に子どもを養育している親が子ども手当を受け取れないというケースがあるのである。

 確かに、市区町村が、不正受給やトラブルを防止するために、別居している証明として、養育している親と子の別居後の住民票を求めている事情も分からなくもない。
しかし、子ども手当は、子どもの養育費として必要不可欠な原資なのであるから、両親が別居している場合、子どもを実際に養育している親の手元にきちんと届ける必要がある。特にDV等で住民票を移せないようなケースの場合、相手方から生活費の支援を受けることは難しいことが多いから、子ども手当は、子どもを養育する親にとって、なおさら不可欠な公的支援である。

 子どもを養育している親が、住民票を移さずとも、子ども手当を受け取ることができるよう、市区町村等の行政機関においては、住民票以外の方法で、別居の事実を確認する代替措置を講じることができないか、検討いただきたいものである。


 離婚調停で進めるのか、夫婦関係円満調整で進めるのか、当分の間別居で進めるのか、を決めるためには、一緒に生活していけるかどうかを判断することになる。
 このとき、多くの人は、相手方の性格を判断するようだ。(そもそも、先ずは、自分は今のままで良いのかを考え、改善していかなければいけないだろうが、ここでは、ふれない。)
 しかし、多くの夫婦を見ていると、相手方の性格を判断するというよりも、相手方の能力を判断する必要があると思う。一緒にうまく生活していくのは、能力だということだ。性格が良ければ、プラスに働くだろうが、能力がなければ、根本的には厳しいだろう。
 能力として、客観的に判断すれば、見誤らないように思う。


 夫婦間で離婚に向けて話し合いを重ねたが、離婚や条件面(養育費や財産分与など)で折り合いがつかなかった。
 つまり協議離婚ができなかった場合、妻ないし夫が、どうしても離婚したいから「出るところ(裁判所)まで出て、どうしても離婚したい!」と、行動に移そうとするとしたら、どのような手段があるでしょうか。
 ここでは、「弁護士に依頼する!」や、「実家(または義父母)に泣きつく。」という方法は省き、純粋に個人で離婚に踏み切る場合にどのような手続をとったらよいのかを説明したいと思います。

 まず、第一に裁判所に調停を申し立てるという方法があります。
裁判所というと、少なからず夫ないし妻を、「訴えるのか?」「裁判になるのか?」と思われる方もおられるかと思いますが、離婚事件は、いきなり相手を「訴える(訴訟を提起する)」ことはできず、必ず調停を経て、訴訟に移行することになります(調停前置主義)。

 要するに、離婚してくれない夫ないし妻に対し、いきなり離婚訴訟を起こすのではなく、まずは家庭裁判所で調停を申立て、そこで調停委員と呼ばれる男女1名ずつの有識者を交えて、双方の意見を聞いてもらい、離婚に向けて調整をします。
 ちなみに、離婚の調停は、自分の住所地でなく、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をします。

 次に調停の場で、調停委員に自分の意見を聞いてもらう時に、「相手方はどこにいるのか?まさか同じ室内に・・・」と気にする方もおられるかと思います。もっとも、当事者同士の仲がこじれている状態なので、調停の場で、夫婦が同時に同じ部屋に入ることはありませんし、お互いが顔を合わせることなく、交互に調停委員の居る部屋に入り、離婚したい理由や離婚後の自分の希望など、思い思いの意見を述べます。

 裁判所としても、離婚したがっている夫婦が、「相手と顔を合わさない」ように配慮してくれているので、調停の開始時間(呼出時間)も、相手方と20分から30分程度ずらしていますし、夫婦のどちらかが調停委員と話している間の待合室も「申立人用」と「相手方用」と別になっています。

 この第三者の有識者2名を交えた調停でも、調停を申立てられた側(相手方)が離婚を拒否したり、離婚条件(養育費や財産分与など)がまとまらなかった等、離婚が成立しなかった場合、残念ながら、調停は「不成立(これ以上、話し合いを続けても平行線又は解決しないので終了)」となってしまいます。
 このように調停が不成立になってしまった場合に、次の手段として「離婚訴訟」が提起できるようになります。


<離婚調停のおおまかな流れ>

家庭裁判所に離婚調停の申立
(申立は、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所になります。)
      ↓ ・申立の際に、戸籍謄本(世帯全員)も必要です。
      ↓ ・申立書には、収入印紙1,200円を貼り、郵券(切手)を添付します。
      ↓  (郵券は裁判所によって、額と内訳が違います。)
      ↓
申立後、概ね1ヵ月後に第1回調停期日が定められます。
      ↓
      調停(第1回目以降、大体1ヶ月間隔で調停期日が入ります。)
      ↓   ↓   ↓
     (調停の回数は、状況にもよりますが、概ね4?7回程度)
      ↓   ↓   ↓
      ↓   ↓  和解
      ↓   ↓
      ↓   ↓
      ↓   調停成立 → 離婚へ
      ↓   
      ↓
      ↓
     調停不成立
      ↓
    (離婚訴訟へ)




 離婚の相談を受けていると、精神的に追い込まれている相談者の方もみえる。そうならないのが良いとは思うが、状況は、人それぞれなので、そうなった場合にどうするかも考えておいた方が良いだろう。
 基本は、精神的に負担となる選択はしないということだと思う。わがままと言われようが、気持ちが楽な方を選ぶということだ。
 弁護士としては、「この場合、こうした方が良い。」という原則的な考え方を持っている。相談者にもこうした話をするけれども、精神的に負担となるということであれば、無理に自分に強いる必要はないと考えている。
 交渉は長引く場合もあり、その場合、落ち着いて生活できることは、何より優先するべきだと思う。


 「あまり反応しない」という対応は歯がゆく、また、やられっぱなしの印象を受けるかもしれない。
 しかし、決着をなかなか見ない紛争は、世の中にたくさんある。
 しかも時期が悪いと、そのような紛争があっちでもこっちでも発生することがある。
 こうしたとき、「あまり反応しない」という対応を考えてみるべきだろう。「言われたら言い返さないと弱くなる。」という考え方で進む場合もあるだろうが、そのことによって自分が崩れてしまっては本末転倒となる。
 また、全て自分で解決しようとせず、いろいろな仕組みを使って決着に持ち込むことがあって良いと思う。
 もちろん、現状についての判断を誤ってはいけないが、自分でがんばろうとして疲れてしまってはいけない。がまん比べになってくると、疲れないようにすることも大事だと思われる。