話し合いで離婚ができない場合 【離婚調停について】
夫婦間で離婚に向けて話し合いを重ねたが、離婚や条件面(養育費や財産分与など)で折り合いがつかなかった。
つまり協議離婚ができなかった場合、妻ないし夫が、どうしても離婚したいから「出るところ(裁判所)まで出て、どうしても離婚したい!」と、行動に移そうとするとしたら、どのような手段があるでしょうか。
ここでは、「弁護士に依頼する!」や、「実家(または義父母)に泣きつく。」という方法は省き、純粋に個人で離婚に踏み切る場合にどのような手続をとったらよいのかを説明したいと思います。
まず、第一に裁判所に調停を申し立てるという方法があります。
裁判所というと、少なからず夫ないし妻を、「訴えるのか?」「裁判になるのか?」と思われる方もおられるかと思いますが、離婚事件は、いきなり相手を「訴える(訴訟を提起する)」ことはできず、必ず調停を経て、訴訟に移行することになります(調停前置主義)。
要するに、離婚してくれない夫ないし妻に対し、いきなり離婚訴訟を起こすのではなく、まずは家庭裁判所で調停を申立て、そこで調停委員と呼ばれる男女1名ずつの有識者を交えて、双方の意見を聞いてもらい、離婚に向けて調整をします。
ちなみに、離婚の調停は、自分の住所地でなく、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をします。
次に調停の場で、調停委員に自分の意見を聞いてもらう時に、「相手方はどこにいるのか?まさか同じ室内に・・・」と気にする方もおられるかと思います。もっとも、当事者同士の仲がこじれている状態なので、調停の場で、夫婦が同時に同じ部屋に入ることはありませんし、お互いが顔を合わせることなく、交互に調停委員の居る部屋に入り、離婚したい理由や離婚後の自分の希望など、思い思いの意見を述べます。
裁判所としても、離婚したがっている夫婦が、「相手と顔を合わさない」ように配慮してくれているので、調停の開始時間(呼出時間)も、相手方と20分から30分程度ずらしていますし、夫婦のどちらかが調停委員と話している間の待合室も「申立人用」と「相手方用」と別になっています。
この第三者の有識者2名を交えた調停でも、調停を申立てられた側(相手方)が離婚を拒否したり、離婚条件(養育費や財産分与など)がまとまらなかった等、離婚が成立しなかった場合、残念ながら、調停は「不成立(これ以上、話し合いを続けても平行線又は解決しないので終了)」となってしまいます。
このように調停が不成立になってしまった場合に、次の手段として「離婚訴訟」が提起できるようになります。
<離婚調停のおおまかな流れ>
家庭裁判所に離婚調停の申立
(申立は、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所になります。)
↓ ・申立の際に、戸籍謄本(世帯全員)も必要です。
↓ ・申立書には、収入印紙1,200円を貼り、郵券(切手)を添付します。
↓ (郵券は裁判所によって、額と内訳が違います。)
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申立後、概ね1ヵ月後に第1回調停期日が定められます。
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調停(第1回目以降、大体1ヶ月間隔で調停期日が入ります。)
↓ ↓ ↓
(調停の回数は、状況にもよりますが、概ね4?7回程度)
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↓ ↓ 和解
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↓ 調停成立 → 離婚へ
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調停不成立
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(離婚訴訟へ)