夫が家庭内で、理由無く威張り倒し、妻に対する発言の大半は、「飯!風呂!寝る!」という亭主関白がまかり通っていた明治・大正の時代の結婚生活から、徐々に時代は変わり、最近は、かかあ天下ならず鬼嫁と呼ばれる方々が登場し、女性は強くなったように思う。
 特に、若い世代では、彼女の小さいポシェットまで、男性が持ってあげる光景などを目にし、フェミニストな男性も増えたものだと驚くこともある。もっとも、そのポシェットを男性が自発的に持ってあげているのか、女性に持たされているのかは謎だが。
しかし、このようなフェミニストな男性が増えつつある反面、未だに夫が、妻を下に見て自身の支配下に置き、暴君のように振舞う者、あるいは、妻や子供の意見も聞かず、自分に従ってしかるべきといって全て自分の思い通りにしようとする者など亭主関白観念を持つ男性も少なくない。
 よく、女性からの離婚相談に応じると、中高年層ほど、夫にこのようなタイプの男性が多いように思う。
 この場合、妻の不満は底知れぬ根深さを持っているが、いざ、このタイプの男性を相手に離婚の交渉や調停の申し立てをすると、たいていは、妻からの離婚の申出に驚き、「何でこんなことを言うのかわからない。」、「仲のよい夫婦だったのに・・・。」、果ては、「離婚する気はない!」などなど、かなり夫婦間に温度差があるように思う。
 私が思うに、これは力関係が上になった者は、いつも自分の思い通りに事が運ぶので、それに慣れてしまった、それが当たり前だと思うようになってしまった結果ではないかと思う。逆を考えると、力関係が下になった者は、どれだけ理不尽でも相手の要求をのまざるを得ない状況が、当たり前になっているので、その相手から受けるストレスは計り知れないものだろう。
熟年夫婦にいたっては、長年、夫の圧迫をうけ続けた妻が、積もりに積もって爆発し、最後に「離婚」という形で、相手に逆襲(または解放を求めて)するのだ。
 今回は、亭主関白を例に挙げたが、最近は、夫と妻が逆転した「鬼嫁」への夫の離婚請求も少なくない。
 つまり、妻や夫からの最後の逆襲を食らってしまう前に、少しでも相手を思いやってみたり、相手の意見をきちんと聴く癖をつけられれば、悲しい結果を招かず済むのかもしれないが・・・。


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