住宅を維持しながら債務整理できる方法として、住宅資金特別条項付き個人再生手続きがあります。一般の再生債権は減免されるのに対し、住宅ローンは減免されず、返済方法のみ見直しが可能です。せっかく手に入れた住宅を手放さなくてもよいので、債務者にとっては大きなメリットです。返済方法の見直しパターンとして、1項から4項の中から最も適したものを選ぶことになります。

1 住宅ローン債権者の同意を必要としないもの
(1)期限の利益回復型(199条1項)
(2)弁済期間延長型(199条2項)
(3)元本猶予期間併用型(199条3項)
2 住宅ローン債権者が変更後の内容について同意しているもの
(1)同意型(199条4項)

 どの条項を利用して申立するかはケースによって異なりますが、住宅資金特別条項の原則型は、「期限利益回復型(199条1項)」です。
この条項は、これまでに住宅ローンの滞納が無く、今後も約定通りの返済が可能な場合に、裁判所の許可を得たうえで、従来どおりの支払いを継続する方法です。具体的には、再生計画認可決定後の毎月のローンについては、当初の契約どおり元本および利息(199条1項2号)を返済しながら、認可決定前の返済が滞っている元本、利息、遅延損害金(199条1項1号)については、期間を定めて分割で返済していくというものです。

なお、住宅資金特別条項を定めた再生計画案については、裁判所による認可要件が厳しく、再生計画が遂行可能であると認定できない限り、許可することはできないとされているため、返済できるかどうか事前に十分に検討することが必要です。


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