乳幼児期における母性優先

 従来の実務では,日本社会の分業化(男性は仕事,女性は家庭)が進んでいたことや,発達心理学の分野においても乳幼児期の愛着形成を母子中心に臨床研究が進んでいたこともあり,乳幼児期における未成年者の親権は「母親」を優先すべきであるとの原則対応が取られていました。
 しかし,男性の子育てへの意識の高まり,父子間における乳幼児期の愛着形成についても未成年者の発達要因となることが明らかにされることで,機械的な「母親」優先対応は取られなくなってきました。

求められる母性とは

 乳幼児の発達は,父母との愛着形成を経て,集団教育等による対外的な人間関係を構築することで加速していきます。愛着度合いは,家庭環境や未成年者と接する時間によって段階が生じ,①監護者と同様に自身を肯定しつつ外敵から守ってくれる存在,②監護者に準じて自身を助けてくれる存在,③遊び相手として許容できる存在,といった差異が乳幼児から見て生じてきます。
 求められる「母性」とは,上記①に相当する存在足り得ることです。

男性側に求められる対応

 勤労時間を調整できる自営業者であれば格別,雇用者で就労している男性の場合には,保育施設だけで乳幼児を養育監護することには限界があり,有力な監護補助者の助力無しに「母性」実現は難しいでしょう。
 監護補助者には,男性側の祖父母にお願いするケースも多々ありますが,なかなか母親と同等の存在足り得る次元に至っているとの証明が困難です。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2016年04月15日 | Permalink