遺言執行者を付けるべきか

 遺言書を作成する場合に,遺言執行者を選任するよう勧められることがあります。しかし,遺言事項で遺言執行者を選任してしまうと,相続財産から報酬を支払うことになり,報酬額も計算方式で記載することが多いため,本当に必要なのか否か不安に思う方も多いと思われます。

 弁護士の視点から見た場合,清算型相続承継(遺産を全部又は一部換価し,相続債務・執行費用・死後事務費用等を控除した上で残額を承継させる相続方式)を希望する場合には,遺言執行者を付けるべきとアドバイスすることになります。

遺言執行に関連する遺言事項としては,以下の4点が重要になります。

①遺言執行者の選任(民法1010条)
⇒未成年者・破産者は遺言執行者になれません(民法1009条)

②共同遺言執行者の定め(民法1017条但書)
⇒遺言者死亡前に執行者が死亡してしまった時の備えとして必要

③遺言執行者の報酬指定(民法1018条1項但書)
⇒決めていないと家庭裁判所で決定することになる(同条項本文)

④遺言執行者の権限具体化(民法1012条1項)
⇒相続財産の清算に必要な権限を具体的に記載しておかないと,当該財産に係わる第三者(法務局・銀行等)の協力を得られない可能性あり。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2016年01月25日 | Permalink