公益法人等に相続財産を渡す遺言
相続人が存在しない方の財産については,相続財産管理人が清算手続を行った上で,最終的には国庫帰属となってしまいます(民法959条)。どうせなら,公益団体に遺贈して社会貢献したいと考える方がいても不思議ではありません。
一方,相続人が存在していても,高齢者の方は,お世話になった介護施設等へ遺贈したいと希望することも少なからず存在します。
遺贈を受け取ってくれるかの確認
そもそも,遺贈によって受遺者側が財産を受け取ってくれるか否か,生前に確認しておかないと,死後に遺贈放棄されてしまいます。多くの公益法人等は,金融資産しか受け入れていない状況ですので,個別に確認すべきでしょう。
遺言執行者の選任
実際の財産提供については,死後に手続が必要となりますので,必ず遺言執行者を選任しておく必要があります。
みなし譲渡所得税に要注意
法人に金銭債権以外を遺贈する場合には,譲渡所得税が相続人に発生します(所得税法59条1項,国税通則法5条)。相続人が相続財産を何ら取得できないような遺言内容の場合,税金だけ負担することに異議を唱える可能性は極めて高いでしょう。
この点は,遺贈によって生じる譲渡所得税について,相続財産から清算するように工夫が必要です。ただし,国・地方公共団体・公益法人等への遺贈についてはみなし譲渡所得税の課税がありません(租税特例措置法40条)。
公益信託という方法
遺言による信託を利用し,信託銀行等に公益信託を委託することでも,同じ目的を達成することができます。