内部統制システムと内部通報制度の関係
内部通報制度を巡る状況としては,平成27年3月24日閣議決定「消費者基本計画」にて,公益通報者保護制度について有用性を認め,周知・啓発の促進と制度の見直しを実施すると明記され,制度自体が一歩先に進もうとしています。
会社法に基づく内部統制システム
会社法では,役員の善管注意義務の一環として,会社の内部統制システム構築・運用の義務(「企業集団の業務の適性を確保するために必要な体制」)が,特に取締役会設置会社では必要となります(会社法362条4項)。
また,監査役設置会社であれば,監査体制の適性確保システム構築・運用の義務(「報告したことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制」)が必要になりました(会社法施行規則100条3項5号)。
コーポレートガバナンス・コード
上場企業に証券取引所が課したルールであるコーポレートガバナンス・コードでは,『原則2-5.内部通報』にて,取締役会に体制整備及び運用状況の監督を責務として求めています。また,『補充原則2-5①』では,内部通報制度として,経営陣から独立した窓口の設置,情報提供者の秘匿と不利益的取扱いの禁止を要請しています。
内部通報制度の需要増加
こうしてみると,内部通報制度は,取締役に求められる内部通報システムと親和性が高く,上場企業でなくとも取り入れていくべき制度であると言えるでしょう。