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不倫再発防止のための違約条項

夫婦間契約の難しさ

 離婚事件数は増加傾向にありますが,配偶者の不倫行動が発覚したものの,擦った揉んだの末に婚姻関係を継続する事を選択する方もまだまだ多いのが実情です。二度と不倫をしないと相手方が誓っても,鵜呑みにすることがでないのも必然の状況で,次に同じことをした場合には離婚・子供の親権・養育費・財産分与・慰謝料について有利な結果が得られるように公正証書で契約書を交わしたいと思われる方が少なくありません。

 しかしながら上記のような夫婦間契約は,法律上の“障害”がいくつか存在します。
 まず,契約で一定の禁止事項を設けたと仮定した場合,その禁止事項に違反した場合には離婚するといった停止条件付離婚合意は,条件に親しまないとして無効になると解釈されています(そのため,公正証書にすることもできません。公証人法26条)。
 次に,夫婦関契約は婚姻関係が破綻する前であれば取消しが可能であり(民法754条本文),安定性を欠く契約であるとして公証人役場では公正証書作成に消極的対応を取っています。
 そのため,婚姻関係継続を選択した上で,将来の離婚条件を公正証書で纏めることは難しいと言わざるを得ません。

宣誓認証私署証書の活用

 とはいっても,しっかりとした契約書を残したいと考えておられる方には,公証人役場での宣誓認証私署証書の認証・保存をご提案しています(公証人法58条ノ2)。
 これは,当事者間で作成した契約書(私署証書)を,作成者が公証人の面前で記載内容が真実であることを宣誓し,公証人が認証を与えることで,証明力の高い契約書にすることができます。契約書は,公証人役場でも保管されるため,証拠保存の面でも安心です。

 具体的な内容は,公正証書での作成が難しいことを受けて,私署証書でも公証人との細かな折衝が求められます。主として,禁止事項に違反した場合の慰謝料に関する損害賠償予約であれば,当事務所に実績がありますので,ご要望がありましたら,是非ご相談下さい。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2015年11月20日 | Permalink