支払われる治療費の範囲
交通事故により傷害を負ってしまった場合,何はともあれ怪我を治すことが先決です。では怪我を治すのに必要な治療費は全て加害者(ないしは加害者の保険会社)から支払いを受けられるのでしょうか。
被害者からすれば「事故がなかったら怪我をすることなんてなかったんだから,全ての治療費を払って貰えるのは当たり前じゃないか!」と思われるかもしれません。しかし,その治療がまだ医学上一般的に認められていない最先端技術で,効果も確立されていないというような場合はどうでしょうか。そのために海外へ手術を受けに行くという場合,渡航費も全額支払って貰えるのでしょうか。あるいは鍼灸治療,マッサージ治療等,医師資格のある者が行う施術以外の治療はどうでしょうか。被害者からすれば支払って欲しい費用ではあるでしょうが,客観的に見た場合,全てが当然に支払って貰えるとは言い難いところがあります。
結論としては,法律上,加害者に支払い義務があるのは当該事故との間の相当因果関係が認められる治療費についてのみです。抽象的な回答になってしまいますが,通常,医学的に見て治療に必要かつ相当な治療で,相応な額の治療費について相当因果関係が認められます。