一般に,車が止まっていたのであれば運転手に過失はないと言われることが多く,実際に「事故になっても,自車が停止していれば,自分に過失はないはずだ」と思われる方も多いのではないかと思います。
 しかし,現実はそのように単純な問題ではないのです。
 確かに,単純な追突事故のように,停止中に後ろから追突されたのであれば,追突された側の過失はゼロとされることが多いでしょう。
 しかしながら,例えば山道の急カーブを曲がりきった場所で,車が故障したわけでもないのに不合理に停止していた場合はどうでしょうか。あるいは,深夜,見通しの悪い道路でライトを点灯させずに停止していた場合はどうでしょうか。このような場合に停止車両への衝突事故が発生したとして,「停止していた側は過失がない」と言えるのでしょうか。
 結局のところ,事故発生時間・場所・状況等をよく検討して決するほか無いと思います。


 「過失割合」については先にご説明いたしましたが,交通事故によって怪我を負っても,その被害者に事故発生について過失が認められるような場合には,その割合に応じて賠償金等を減額されることもあり,これを「過失相殺」といいます。
 では,このような過失割合はどのようにして決められ,それにより過失相殺がなされるのでしょうか。
 過失割合は,当事者で話し合いができればそれで結構ですが,最終的には裁判所が決めるものです。そして,過失割合は,事故の態様や状況等の諸要素を考慮して定められますが,現在は事故の類型別におおよその基準が公表されており,同基準によって定められることが多いです。
 但し,過失割合に影響を与える特殊な要因があるケースもあるでしょうし,非典型的な事故の場合もありますので,詳しくは弁護士にご相談下さい。


 交通事故が発生した場合にもっとも揉める原因の1つに,過失割合があります。
 交通事故が発生したのは基本的には誰かの不注意が原因ですが,一体当事者の誰にどのくらいの不注意(=過失)があったのか,これが過失割合という問題です。
 単純な追突事故のように当事者一方のみの過失による事故であることが明らかな場合は別ですが,通常は当事者双方に過失があることが多いです。そして,誰しも事故を起こそうと思って車を運転しているわけではないですから,いったん交通事故が発生すると,「どちらの過失が大きいのか」について激しく争われる場合が多いのです。